まるた

まるた銀行に行くと、人目を気にしてコソコソしてしまうことがある。

小林家は龍神様をお祀りしているので、お詣りのお客様の想いを込めた「お賽銭」が投じられる。

お賽銭は「龍神様」の維持保存のために大切に大切に使わせて頂いている。

お詣りのあとに喫茶に立ち寄られる方も多く、「今日は今度受ける手術の成功を祈りに来た。」「友人の病気の快癒を願いに来た。」「良縁に恵まれるように祈ってきた。」切実な想いをお聞きすることもある。

そんな祈りのこもったお金を１円たりとも無駄には出来ない。

たまった硬貨を銀行に預金するのだが、１００枚を越えると手数料（５５０円）がかかる。５００枚をこえると１１００円も消えてしまう。心が痛くてそんなことは出来ない。

そこで、ATMに誰もいないことを確認して硬貨投入口にざっくり１００枚を入れる。機械は、１００枚を越えた分は返却される。確認ボタンを押すと、数えてくれるのだがコレに時間がかかる。やっと通帳に印字され通帳返却となるのだが通常画面に戻るのに、１分以上かかる。

自分一人だといいのだが、後ろに人が並んでいると限りなく申し訳ない気持ちになる。

ただ、画面を見ながら１分以上もただ俟つだけの状況はツライ。

「ホントにすんません・・・。」と想いながら逃げるように銀行をあとにする。

運良く誰も並んでいないときは、隣のATMにまた硬貨投入し２台のATMを我が物のように使う。

頼むからだれも来ないでくれとコソコソ。

でも、このコソコソ全部防犯カメラに写ってんだよな・・・。